近年話題に事欠かない自動運転ですが、一体いつになったら私たちは自動運転のクルマに乗れるようになるのでしょうか?
もし、完全な自動運転が自動運転が実現すれば、運転の難しい免許を返納した高齢者や子どもも車に乗ることができるかもしれませんし、夜遅くにお酒を飲んでも自動運転のクルマで帰宅する…なんて未来が待っているかもしれません。
実際には、現時点では完全な自動運転を実現するには技術的にクリアしなければならない課題がたくさんあり、いつ頃一般大衆が自動運転のクルマに乗れるようになるのかという精度の高い予測は不可能ですが、大まかな展望を見ることはできます。
自動運転にはレベルがある
一口に自動運転と言っても、段階によってレベルがあるのをご存知でしたでしょうか?
レベル0・・・ドライバーが全ての操作を行う。通常の運転。
レベル1・・・ステアリング操作か加減速のいずれかをサポート。
レベル2・・・ステアリング操作と加減速の両方が連携して運転をサポート。
レベル3・・・特定の場所ですべての操作が自動化、緊急時はドライバーが操作。
レベル4・・・特定の場所ですべての操作が完全に自動化。
レベル5・・・あらゆる状況において操作が自動化。
厳密には、レベル1~2は運転支援と言われており、自動運転と呼ばれることが多いのはレベル3以降となります。
どのように自動運転が進んでいくか
すでにレベル2までの運転支援機能がついたクルマはメーカーから発売されています。
渋滞時の車間距離を保ってくれるなどのアシスト機能については聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
レベル3は高速道路からスタートすると見られています。これは、高速道路では信号や歩行者などの存在がないため技術的にハードルが低いというのが理由です。
しかし、一般道までに範囲を広げたときには技術的な課題が多く残っていると言われています。
例えばセンサー技術。よく使われているセンサーが検知できる範囲が100~150メートルぐらいですが、ステアリングやブレーキを考えると時間的余裕がなく、まだまだ改良していかなければなりません。
さらに自動運転のためには自動運転ができる道路と地図の整備も必要になってきます。
2020年代には自動運転のシステムはほぼ完成に近づき、一般道で乗れるようになるのは2030年代かそれ以降になるという見方もありますが、不確定要素が多いためにあくまで予測の域を出ていないというのが現状です。
自動車免許はいる?いらない?
レベル5の完全自動運転が実現された場合には免許必要なくなるのでしょうか?
完全な自動運転となれば、運転操作は必要ないので免許はいらないのではないかという考えが出てきてもおかしくありません。
しかし万が一の際には自動運転ではなく、手動で運転する必要がある場面が出てくる可能性があるので、最初からいきなり免許が必要ないということにはなりづらいでしょう。
この手動で運転する場合というのは不測の事態が起きたときのことで、電子制御システムが複雑になってくると、トラブルが起こらないとは言い切れません。
これらのシステムエラーをカバーできる以上の安全性の仕組みが構築されれば、そのタイミングで「運転免許は不要」の時代がやってくるかもしれません。
事故の責任は誰にあるのか
自動運転の非常に重要な問題のうちの一つに交通事故の扱いをどうするのかという問題があります。
自動運転は、人が運転するよりもエラーが少なく、事故に繋がる確率が低いとも言われていますが、そうはいっても千差万別な交通シーンに置いて的確で安全な判断を下す部分の技術は難しく、完全に事故をなくすことは難しいでしょう。
例えば、突発的に車道に飛び込んできた歩行者には対応出来ない可能性があります。どんなにセンサーが早く反応しブレーキをかけたとしても、クルマが止まるまでには制動距離が必要ですし、対向車が来ていれば、避けるスペースもないなんてこともありえます。
上記の例にとどまらず、事故があった場合の責任の所在はどこにあるのかについては、今も議論がかわされている最中です。
事故についての責任が誰にあるのかという問題は、自動車保険はどうなるのかという問題にも直結します。
責任の所在はシステム(つまりメーカー側)か、搭乗者か、はたまた注意しなかった被害者か。
これまで被害者・加害者だけの対立構造だったものに、システム側の責任が問われてくるので事故に対する問題はより複雑になるのです。
そのため、メーカー側も慎重な姿勢をとっており、だいぶ先の自動運転システムが完成するまでは、自動運転システムを搭載しないと明言しているメーカーもあるくらいです。
自動運転により想像される未来
自動運転が普及していくことは、運転を自動化できるということ以上に様々な変化をもたらしそうです。
自動運転ができるということは、例えば無人タクシーなどでは、1日中稼働することが可能になるということを意味します。
無人タクシーが道路に常に走っているとなると、マイカーを所有する必要性がなくなってくる可能性もありますし、使用していない時間や駐車場の問題も考えると、自動車の所有は相対的にコストが高くなることが考えられます。
また、自動運転が普及したり、クルマ所有の文化がなくなると、車庫や駐車場のあり方や街づくりのあり方にも大きな影響を与えることになるでしょう。
人は必要なときに、必要な場所で、運転することなく好きな場所まで移動できるようになるのかもしれません。
料金体制も、従量制、もしくは「月々いくらで乗り放題」のような、まるでスマホのような料金体制になるになることも考えられるわけです。
ここまでくると、もはや全く違うサービスのように思われるかもしれませんが、完全自動運転化というのはそれほど社会を変革させるほどの可能性を秘めているのです。
一方で、自動運転の普及によって車を運転する楽しみがなくなってもいいのかという点において疑問に思っている人もいます。
今後は移動の役割としてのクルマと娯楽の役割としてのクルマは切り離されていくことになりそうです。
これらの推測はあくまで推測の域を出ておらず、法整備や技術革新によって、どのような未来像もありうるのが自動運転の持つ可能性なのです。